投資を始めようという人へ

ド素人の視点からの投資やお金にまつわる考え方

4.投資は値上がり目的か?

さて、投資と博打、投資と消費のグレーゾーンから、どんな投資が安全な投資かということを考えてきました。ここでもう一つ投資の本質的な意味を考えたいと思います。それはそもそも投資をする目的です。

値上がり、資産を殖やす

まあ普通はこれが目的だと考えるでしょうね。銀行預金がこれだけ利子がつかない時代でもありますし、せっかく投資するのだから殖えてナンボ。何かリスクが生じて資産が目減りでもしようものなら、もうがっくりです。その金融商品を勧めた情報源には恨み骨髄と。

でも私は違うと思います。まあ私も投資はしているとは言え、億万長者になったわけでもないです。ビットコインで億り人になった人に対する負け惜しみかと言われればまあそうでないとは言えませんが、それにしても投資には利殖目的とは別目的があると思っています。

例えば、こういう人をどう思いますか。

例えば、以下のような人がいたとします。

「貯金はゆうちょ銀行の定額貯金で500万、都市銀行の定期預金で500万です。普通預金には100万円ほどあります。新型個人国債は10年物を300万持っています。あと株主優待狙いで〇〇鉄道の株を時価で100万円買ってます。コロナで目減りしちゃって・・・もう投資はこりごりです」

さて、この例を見てどう思うでしょうか。色々な見方はあると思いますが、いくつかはっきり言えることがあると思います。まず「銀行の資産が1100万、全体の73%ですね。銀行預金は今は定期でも利率が低いですから、もう少し利回り向上を狙って、定額貯金か定期貯金は解約して株式投資投資信託に回しましょう。」と銀行の窓口営業の方は言うわけですね。

私はそれ自体は間違っていないと思いますが、もっと根本的な資産の偏りに気付くべきだと思います。どうでしょう、気が付きますか。それは:

 「日本国内の円資産が100%である」

ということです。

資産を集中させすぎないために投資する

日本が今後没落するからそれは良くない、というような極端な悲観論を言いたいわけではありませんが、それにしても自分の全財産が一つの国の資産に集中している、というのは言われてみれば不自然だという見方もあっていいと思います。

日本は少子化に向かい、経済が長期的に縮小していくのははっきりと見えています。国の借金も多く、経済が上向きになるために消費税のさらなる増税が重しになる危険もあります。異次元の金融緩和策は今後も続き、その結果いつかとんでもないインフレが来るかもしれません。「必ず日本の経済は悪くなる」と言いたいわけではありませんが、世界中の中でわざわざ日本にだけ資産を集中するのは、それはそれでリスクじゃないの?というのも間違った見方では無いと思います。

第二次世界大戦以降、世界の経済は全体でみれば右肩上がりです。その中でも日本は特に著しく成長し、その後日本をはじめ先進国の成長は鈍化したとは言え、新興国も含めてみれば全体の経済は成長しています。その中でわざわざ日本にだけ資産を集中する必要はないのです。

自分の資産を眺めてみてください。何かに集中していませんか。それを異なる種類のものに分散して、集中しているものに発生する可能性のあるリスクを低減する。これが投資の一つの目的だと思います。

わかりやすい分散投資商品(私の例)

私は投資はせいぜい債券、株、投資信託、外貨預金を少々程度です。不動産投資などはしていません。その中でも私の分散発想の投資先の例を挙げると:

 今後、日本の株価が大幅に下落するかもしれない。

 → 外国の株式指標に連動する投資信託を購入しています。

   金価格に連動する投資信託を購入しています。

 今後、全世界の株式が暴落するかもしれない。コロナとか。

 → 日本、諸外国の債券に投資する投資信託を購入しています。

 今後、金融緩和策が暴走してとんでもないインフレになるかもしれない。

 → 消費者物価に連動する債券に投資する投資信託を購入しています。

 また日本に大地震が来て、大変なことになるかもしれない

 → 日本以外の全世界の株式に投資する投資信託を購入しています。

   アメリカの株式指標に連動する投資信託を購入しています。

それぞれ投資額はまだ大したものではなく、それぞれ数十万円~百数十万円くらいです。なぜなら、それぞれのリスクが発生するリスクは低いので、いくら分散とは言えそこに巨額をつぎ込むのは本末転倒だからです。価格が上がらないものもありますが、あくまでも分散が目的なので、あまり「勝ち負け」は考えないようにしています。また分散するにあたっては、上記では金の投資信託などが典型的なように「大負けする確率は比較的低い」商品を買うようにしています。家の裏庭で金が大量に採掘されるようなことが無ければ、金の価格はそれほど変わりませんので。

上の例を見てもわかると思いますが、私は「あれが値上がりしそうだから買うぞ」というスタンスで投資はしていません。私はIT企業一筋30年の経済のド素人ですし、自分の勘や知識を信用していないので。博打のセンスも無いですし。

そうではなく、「自分に心配なものがあったら、それが起きても資産が目減りしにくいもの」に投資するようにしています。これは投資をすることの大きな目的だと思っています。

整理すると、「値上がりしそうなものを買うのではなく、可能性は高くないが値下がりする心配があるものを、集中しすぎている所からちょっと分散する」これが投資の考え方として重要だと思います。

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さて次回は、ここまで述べてきたことから、今後も頻出する「鉄則」をいったん整理しておきたいと思います。