投資を始めようという人へ

ド素人の視点からの投資やお金にまつわる考え方

3-1.「投資」と「博打」のグレーゾーン【博打まがいの金融商品】

さて前回は博打に近い投資商品として、値動きリスクが高い商品は当然として、むしろ「丁半博打、勝者と敗者」の特性の金融商品がある、という話をしました。これについて具体的に考えたいと思います。

ここでは、例に挙げる商品について、はっきりと「博打まがいの商品だ」とネガティブに書きますが、それを承知で自分のニーズ、ポートフォリオとして必要な商品であれば買うのは全然良いと思いますし、現に私も自分の資産に組み入れてもいます。ですが、これが「投資と博打のグレーゾーンにある商品だ」ということを認識しておくことは必要だと思っています。

外貨預金(FX、暗号通貨)

為替差益や外貨の預金利率を狙う商品ですが、根本にある取引は「日本円で外貨を買う」という行為です。預金利率は微々たるもので、細かい計算例は省略しますが、為替差益が損益に支配的です。そのうち日本円に戻すことを考えれば、買った外貨が値上がりすれば(円安)儲かりますし、値下がりすれば(円高)損します。

そして、あなたが外貨預金をする=外貨を買うという行為をするときには、必ずあなたに対して、そのレートで外貨を売る人がいるのです。例えばあなたが今日、銀行の窓口に行って「アメリカドル定期します。100万円分。」と申し込んだとします。その日1ドル100円だとしましょう。都合1万ドルの外貨購入ですよね。この時あなたに対して外貨を売る人は、「絶対にこの先1ドル95円になるぞ。どこかに100円で買ってくれる奴はいないか?」と思って、あなたの買い注文を、どこか別のパソコン画面から見ているのです。

あなたに対して1ドル100円で「しめしめ。どうせこの先円高になるのに・・・」とドルを売ろうとしている人は、私たちのような投資のド素人でしょうか?。百戦錬磨の外貨トレーダーでしょうか?。それは誰にもわかりません。

さてあなたは無事1ドル100円のレートで1万ドルを外貨定期にしました。ここから先、1ドル110円になればあなたの勝ち。1ドル95円になればあなたの負けです。

これが丁半博打でなくて何でしょうか。外貨預金であれ、FXであれ暗号通貨であれ、ただ単純に「通貨を買う」という行為は、私は本質的に丁半博打だと思っています。(その通貨の国に今後移住する可能性がある、という場合を除いては。)

ちなみに外貨預金を扱う銀行などの金融機関はこの博打の単なる胴元ですので損は絶対にしません。自分が損をする賭場を開帳する胴元はいません。TTSで円を売り、TTBで円を買う。手数料ビジネスで粛々と儲けるのでご安心?ください。

健康祝い金付きの生命保険、医療保険

保険は、多くの人がお金を出し合って、死亡や病気、事故など困ったことがあった人に集めたお金を支給する、という「互助」が本来の発想です。

これに対して、「〇〇年、健康のままであれば祝い金を支給します」というオマケがついた生命保険や医療保険がありますが、これはどうなんでしょうか。

言い換えれば「幸運にも〇〇年間、病気にも事故にもならなかった人には、簡単に病気になって保険金を請求するような奴らから集めてあった金をお礼にちょっと分けてやるよ」ということだと思います。それって保険としてどうなんでしょう。

それに例えばあと1か月で祝い金が支給される「〇〇年」の条件を満たすとします。その時に急に体調が悪くなったとします。その時、「体調悪いけど、変な病気が見つかったら、あと一歩で『お祝い金』がもらえなくなっちゃうから、1か月我慢しよう」と思わない自信はありますか?。命とお祝い金のどちらが大切かわかっていても、お祝い金は諦めて、病院に行って入院する自信はあなたにはありますか?

とにかくこの手の商品は、企画して売る側の経済原理、商売人としての発想はとても理解できますが、人間の倫理としては私には全く理解できません。

そして、「病気になれば負け。病気を我慢すれば勝ち。病気になった負け犬どもの賭け金を、運がいい奴らが持っていけ」というのは、見事なまでに博打の発想です。あなたは病気になって苦しんでいる人からむしり取った金を受け取って、うれしいですか?。散々嫌味な言い方をしてみましたが、そういう言い方をされてもしょうがない商品だと思います。

本当の「博打」とは何か

私は、株の売買がそうであるように「負けるリスクが大きい」ことが博打だとは思いません。それは「博打」だけではなく「投資」でも程度問題だと思います。

ですが、誰かの「勝ち」が誰かの「負け」の上に成り立つ、これこそが本当の「博打」だと思います。

株は誰かの不幸の上に勝ちが成り立つ商品ではありません。逆にその企業の活躍を資金面で全員で支援し、業績が向上したらみんなでその成果を受け取る商品です。業績がダメダメならみんなで株主総会に出て責任を追及するのです。ですからそれは値動きリスクがあっても「博打」とは言えないでしょう。

これに対して上に示したような博打まがいの金融商品は違います。パソコンの向こうで、あなたの売り買い注文を眺めているのはとんでもない凄腕トレーダーかもしれないのです。あなたの「勝ち」はとても不幸な誰かの上に成り立っているのかもしれないのです。胴元はテラ銭を巻きあげて高見の見物です。

そう考えると、私はド素人はひとまず博打まがいの金融商品、投資商品はひとまずは避けておくべきだと思います

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次回は続けて「投資」と「消費」のグレーゾーンを見ていきたいと思います。これも良い投資商品を見極めるうえで欠かせない視点ですので、ぜひ読んでください。