投資を始めようという人へ

ド素人の視点からの投資やお金にまつわる考え方

5.ここまでで投資の鉄則の整理。

さて、今までくどくど述べてきたことから、投資の鉄則を整理します。これは今後具体的な商品種類の見極めの際にもたびたび出てくる考え方だと思っています。

①「勝ち」と「負け」しかない投資は危険

 売買は値上がり期待と値下がり期待の正反対の予想から成り立ちます。売買の取引相手はプロかもしれません。もしプロでは無ければ、とても不幸な境遇になった一般の方のお金かもしれません。

 ex.外貨預金、FX、仮想通貨、特殊な保険商品

②手数料は投資ではなく消費。

 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額、TTB-TTSなどの「手数料」は、投資家には果実はない。とにかく手数料が安いところで、安い商品を買う。

 銀行のカウンターの店員が勧める投資信託商品は間違いなく信託報酬1.5%以上。

 ex.やたら広告露出が多い株式投資信託

③儲かるのも投資、損するのも投資。

 儲かるかどうかは時の運。リスクテイクして投資する以上、負けもある。負けても破滅しないように投資しよう。

 値下がりした時に、へこみ過ぎないためにも。。。

④自分の資産の一極集中を崩そう。

 資産があるカテゴリに集中していることがリスク。そこのリスクが破裂しても、破産しないように資産を分散させておく、これが投資でわかりやすくできること。

 「値上がり」は才覚と運次第だが、「分散」は考えれば誰でもできる。

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さて次回はいよいよ具体的な投資商品の説明、まずはidecoです。といいつつ、idecoは投資商品というより節税手段ですが、まあとにかく強力な制度ですので是非最初に紹介させてください。

4.投資は値上がり目的か?

さて、投資と博打、投資と消費のグレーゾーンから、どんな投資が安全な投資かということを考えてきました。ここでもう一つ投資の本質的な意味を考えたいと思います。それはそもそも投資をする目的です。

値上がり、資産を殖やす

まあ普通はこれが目的だと考えるでしょうね。銀行預金がこれだけ利子がつかない時代でもありますし、せっかく投資するのだから殖えてナンボ。何かリスクが生じて資産が目減りでもしようものなら、もうがっくりです。その金融商品を勧めた情報源には恨み骨髄と。

でも私は違うと思います。まあ私も投資はしているとは言え、億万長者になったわけでもないです。ビットコインで億り人になった人に対する負け惜しみかと言われればまあそうでないとは言えませんが、それにしても投資には利殖目的とは別目的があると思っています。

例えば、こういう人をどう思いますか。

例えば、以下のような人がいたとします。

「貯金はゆうちょ銀行の定額貯金で500万、都市銀行の定期預金で500万です。普通預金には100万円ほどあります。新型個人国債は10年物を300万持っています。あと株主優待狙いで〇〇鉄道の株を時価で100万円買ってます。コロナで目減りしちゃって・・・もう投資はこりごりです」

さて、この例を見てどう思うでしょうか。色々な見方はあると思いますが、いくつかはっきり言えることがあると思います。まず「銀行の資産が1100万、全体の73%ですね。銀行預金は今は定期でも利率が低いですから、もう少し利回り向上を狙って、定額貯金か定期貯金は解約して株式投資投資信託に回しましょう。」と銀行の窓口営業の方は言うわけですね。

私はそれ自体は間違っていないと思いますが、もっと根本的な資産の偏りに気付くべきだと思います。どうでしょう、気が付きますか。それは:

 「日本国内の円資産が100%である」

ということです。

資産を集中させすぎないために投資する

日本が今後没落するからそれは良くない、というような極端な悲観論を言いたいわけではありませんが、それにしても自分の全財産が一つの国の資産に集中している、というのは言われてみれば不自然だという見方もあっていいと思います。

日本は少子化に向かい、経済が長期的に縮小していくのははっきりと見えています。国の借金も多く、経済が上向きになるために消費税のさらなる増税が重しになる危険もあります。異次元の金融緩和策は今後も続き、その結果いつかとんでもないインフレが来るかもしれません。「必ず日本の経済は悪くなる」と言いたいわけではありませんが、世界中の中でわざわざ日本にだけ資産を集中するのは、それはそれでリスクじゃないの?というのも間違った見方では無いと思います。

第二次世界大戦以降、世界の経済は全体でみれば右肩上がりです。その中でも日本は特に著しく成長し、その後日本をはじめ先進国の成長は鈍化したとは言え、新興国も含めてみれば全体の経済は成長しています。その中でわざわざ日本にだけ資産を集中する必要はないのです。

自分の資産を眺めてみてください。何かに集中していませんか。それを異なる種類のものに分散して、集中しているものに発生する可能性のあるリスクを低減する。これが投資の一つの目的だと思います。

わかりやすい分散投資商品(私の例)

私は投資はせいぜい債券、株、投資信託、外貨預金を少々程度です。不動産投資などはしていません。その中でも私の分散発想の投資先の例を挙げると:

 今後、日本の株価が大幅に下落するかもしれない。

 → 外国の株式指標に連動する投資信託を購入しています。

   金価格に連動する投資信託を購入しています。

 今後、全世界の株式が暴落するかもしれない。コロナとか。

 → 日本、諸外国の債券に投資する投資信託を購入しています。

 今後、金融緩和策が暴走してとんでもないインフレになるかもしれない。

 → 消費者物価に連動する債券に投資する投資信託を購入しています。

 また日本に大地震が来て、大変なことになるかもしれない

 → 日本以外の全世界の株式に投資する投資信託を購入しています。

   アメリカの株式指標に連動する投資信託を購入しています。

それぞれ投資額はまだ大したものではなく、それぞれ数十万円~百数十万円くらいです。なぜなら、それぞれのリスクが発生するリスクは低いので、いくら分散とは言えそこに巨額をつぎ込むのは本末転倒だからです。価格が上がらないものもありますが、あくまでも分散が目的なので、あまり「勝ち負け」は考えないようにしています。また分散するにあたっては、上記では金の投資信託などが典型的なように「大負けする確率は比較的低い」商品を買うようにしています。家の裏庭で金が大量に採掘されるようなことが無ければ、金の価格はそれほど変わりませんので。

上の例を見てもわかると思いますが、私は「あれが値上がりしそうだから買うぞ」というスタンスで投資はしていません。私はIT企業一筋30年の経済のド素人ですし、自分の勘や知識を信用していないので。博打のセンスも無いですし。

そうではなく、「自分に心配なものがあったら、それが起きても資産が目減りしにくいもの」に投資するようにしています。これは投資をすることの大きな目的だと思っています。

整理すると、「値上がりしそうなものを買うのではなく、可能性は高くないが値下がりする心配があるものを、集中しすぎている所からちょっと分散する」これが投資の考え方として重要だと思います。

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さて次回は、ここまで述べてきたことから、今後も頻出する「鉄則」をいったん整理しておきたいと思います。

3-2.「投資」と「消費」のグレーゾーン【投資したつもりが消費してる】

前回は、博打に近い投資はあり、それは避けた方が無難、それは値動きのリスクが大きいということでは(必ずしも)なく、売買が「勝った負けたの丁半勝負」の商品が身近にも多い、という話をしました。

今回は、「投資」と「消費」のグレーゾーンを考えてみたいと思います。以前も述べましたが、消費は投資と違い、客観的なリターンは期待できず購入したり使用したりしたらそれで終わり、という性格の経済行動です。

このグレーゾーンにも「良い投資」をするための重要なヒントがある、と思っています。

投資に近い消費【定量化できない無形のリターン】

まず投資に近い消費ですが、金銭などはっきりと数えれるものではない、ぼやっとしたリターンが期待できるものが該当すると思います。

例えばライザップに通って痩せる。痩せることによる効果は定量的には難しいですが、やはり健康になるでしょうし、異性にモテる確率も高くなるでしょう。逆に痩せることに失敗するリスクや、痩せたが女の子には相変わらずモテなかった、というリスクも無いことは無いでしょう。自分を高めるための消費行動は、リスクがあることも含め明らかに投資的な発想を持つ消費です。勉強もそうです。目的を持ってそれに向かって勉強することは自分への投資と言えると思います。もちろん死ぬほど頑張ったのに目的を達することができず、自己嫌悪に陥りヤサグレる、というリスクも当然あるわけです。

無形とは言え、リターンのために工夫し努力する、失敗するリスクもある。まさにこれは投資です。ですが、勝った負けたがあるものもあれど、本質的にはすべて自分との闘いではないでしょうか。努力して負けても、長い人生では決して意味の無い負けでもないでしょう。それがまたこれからの人生への貴重な投資になるかもしれません。その意味で投資的な消費行為は、投資ではあっても決して「博打」ではないと思います。

消費に近い投資【というか消費部分が多い投資】

投資において消費に近いグレーゾーンとして真っ先に思いつくものがあります。それは「消費に近い投資」というよりは「消費の要素が多すぎる投資」という言い方が正しいです。

端的に言いましょう。それは「手数料類」です。どんなに小さな投資額でも、巨額の投資でも、とにかくそれが何かの投資対象に変化して投資対象が活躍すれば儲かります。投資対象が働いてくれるのです。自分が働けないような働き方を、投資対象がやってくれるのです。それが投資です。

ですが、例えば株や投資信託の購入時手数料や信託報酬、銀行や証券会社の口座維持手数料、銀行振り込みの手数料、とにかく「手数料」の名の付くものは、その部分だけは明確に消費行為であって、手数料は投資によるリターンをもたらすことには何も貢献しません

まあ銀行口座によっては、口座維持手数料を払えば、年一回よくわからないグラフがついた「お取引レポート」を送ってくれるとかあるかもしれません。そんもの見ますか?グラフが欲しければ、自分で記録取ってExcelで必要な集計をすればいいです。

手数料を取らないと、商品を売る側の金融機関も、商売として成り立ちませんので、しょうがないっちゃしょうがないのですが、我々としてこんなものは、無いもしくは少ないに越したことはない。

我々は投資したいのであって、金融機関に手数料を払って喜んでもらいたい、テレビでその金融機関の恐らくはクソ高いギャラが必要な有名女優を使ったCMを見たいのではありません。ここは心を鬼にして金融機関に対する「消費」を減らすしかないのです。

例えば銀行に行くと、投資信託を勧められることがよくあります。この時に勧められる商品はかなりの高確率で「信託報酬」という手数料が高い率の商品です。信託報酬が1%を超えるような商品は、販売する金融機関も儲かる。だから必死に売る。ただそれだけです。客観的にその投資信託が良いとは限らない。ただただ金融機関側が客観的に儲かる商品をわかりやすく勧めてくるのです。この時代、金融機関も必死なんです。

あるいは外貨預金など外貨の売買。これはまず外貨を買うときは「TTS」というレート、日本円に戻すときは「TTB」というレートが適用されます。つまりTTBとTTSの差額が為替売買の手数料として100%確実に金融機関の儲けになるわけです。円高になってあなたが大損しようがそれは知ったこっちゃない。

さらに言えば、手数料が公開されず全くブラックボックス金融商品もあります。私はこんな商品は買うのが本当に怖いです。疑心暗鬼になります。ちなみに代表的な商品は「保険」です。

つまり、投資をするときには「それにはどんな手数料がどのくらいかかるのか」ということをよく理解して、できれば少しでも手数料が安い買い方を考えるべきだと思っています。

手数料なんて、同じ商品ならどこでも似たりよったりじゃないの?と思いますが、そうでもありません。今後は「まず手数料は低い方が良い」ということを前提に投資にまつわる色々な行動をお話していきたいと思います。

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さて、次回は、投資の目的を考えたいと思います。値上がりすることが目的でしょうか?。それだけではない、という視点です。

3-1.「投資」と「博打」のグレーゾーン【博打まがいの金融商品】

さて前回は博打に近い投資商品として、値動きリスクが高い商品は当然として、むしろ「丁半博打、勝者と敗者」の特性の金融商品がある、という話をしました。これについて具体的に考えたいと思います。

ここでは、例に挙げる商品について、はっきりと「博打まがいの商品だ」とネガティブに書きますが、それを承知で自分のニーズ、ポートフォリオとして必要な商品であれば買うのは全然良いと思いますし、現に私も自分の資産に組み入れてもいます。ですが、これが「投資と博打のグレーゾーンにある商品だ」ということを認識しておくことは必要だと思っています。

外貨預金(FX、暗号通貨)

為替差益や外貨の預金利率を狙う商品ですが、根本にある取引は「日本円で外貨を買う」という行為です。預金利率は微々たるもので、細かい計算例は省略しますが、為替差益が損益に支配的です。そのうち日本円に戻すことを考えれば、買った外貨が値上がりすれば(円安)儲かりますし、値下がりすれば(円高)損します。

そして、あなたが外貨預金をする=外貨を買うという行為をするときには、必ずあなたに対して、そのレートで外貨を売る人がいるのです。例えばあなたが今日、銀行の窓口に行って「アメリカドル定期します。100万円分。」と申し込んだとします。その日1ドル100円だとしましょう。都合1万ドルの外貨購入ですよね。この時あなたに対して外貨を売る人は、「絶対にこの先1ドル95円になるぞ。どこかに100円で買ってくれる奴はいないか?」と思って、あなたの買い注文を、どこか別のパソコン画面から見ているのです。

あなたに対して1ドル100円で「しめしめ。どうせこの先円高になるのに・・・」とドルを売ろうとしている人は、私たちのような投資のド素人でしょうか?。百戦錬磨の外貨トレーダーでしょうか?。それは誰にもわかりません。

さてあなたは無事1ドル100円のレートで1万ドルを外貨定期にしました。ここから先、1ドル110円になればあなたの勝ち。1ドル95円になればあなたの負けです。

これが丁半博打でなくて何でしょうか。外貨預金であれ、FXであれ暗号通貨であれ、ただ単純に「通貨を買う」という行為は、私は本質的に丁半博打だと思っています。(その通貨の国に今後移住する可能性がある、という場合を除いては。)

ちなみに外貨預金を扱う銀行などの金融機関はこの博打の単なる胴元ですので損は絶対にしません。自分が損をする賭場を開帳する胴元はいません。TTSで円を売り、TTBで円を買う。手数料ビジネスで粛々と儲けるのでご安心?ください。

健康祝い金付きの生命保険、医療保険

保険は、多くの人がお金を出し合って、死亡や病気、事故など困ったことがあった人に集めたお金を支給する、という「互助」が本来の発想です。

これに対して、「〇〇年、健康のままであれば祝い金を支給します」というオマケがついた生命保険や医療保険がありますが、これはどうなんでしょうか。

言い換えれば「幸運にも〇〇年間、病気にも事故にもならなかった人には、簡単に病気になって保険金を請求するような奴らから集めてあった金をお礼にちょっと分けてやるよ」ということだと思います。それって保険としてどうなんでしょう。

それに例えばあと1か月で祝い金が支給される「〇〇年」の条件を満たすとします。その時に急に体調が悪くなったとします。その時、「体調悪いけど、変な病気が見つかったら、あと一歩で『お祝い金』がもらえなくなっちゃうから、1か月我慢しよう」と思わない自信はありますか?。命とお祝い金のどちらが大切かわかっていても、お祝い金は諦めて、病院に行って入院する自信はあなたにはありますか?

とにかくこの手の商品は、企画して売る側の経済原理、商売人としての発想はとても理解できますが、人間の倫理としては私には全く理解できません。

そして、「病気になれば負け。病気を我慢すれば勝ち。病気になった負け犬どもの賭け金を、運がいい奴らが持っていけ」というのは、見事なまでに博打の発想です。あなたは病気になって苦しんでいる人からむしり取った金を受け取って、うれしいですか?。散々嫌味な言い方をしてみましたが、そういう言い方をされてもしょうがない商品だと思います。

本当の「博打」とは何か

私は、株の売買がそうであるように「負けるリスクが大きい」ことが博打だとは思いません。それは「博打」だけではなく「投資」でも程度問題だと思います。

ですが、誰かの「勝ち」が誰かの「負け」の上に成り立つ、これこそが本当の「博打」だと思います。

株は誰かの不幸の上に勝ちが成り立つ商品ではありません。逆にその企業の活躍を資金面で全員で支援し、業績が向上したらみんなでその成果を受け取る商品です。業績がダメダメならみんなで株主総会に出て責任を追及するのです。ですからそれは値動きリスクがあっても「博打」とは言えないでしょう。

これに対して上に示したような博打まがいの金融商品は違います。パソコンの向こうで、あなたの売り買い注文を眺めているのはとんでもない凄腕トレーダーかもしれないのです。あなたの「勝ち」はとても不幸な誰かの上に成り立っているのかもしれないのです。胴元はテラ銭を巻きあげて高見の見物です。

そう考えると、私はド素人はひとまず博打まがいの金融商品、投資商品はひとまずは避けておくべきだと思います

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次回は続けて「投資」と「消費」のグレーゾーンを見ていきたいと思います。これも良い投資商品を見極めるうえで欠かせない視点ですので、ぜひ読んでください。

3.「投資」と「博打」のグレーゾーン

「投資」と「消費」と「博打」にはグレーゾーンがあり、そのグレーゾーンに安全安心な投資のヒントがある、ということを前回書きました。この中で今回は「投資」と「博打」のグレーゾーンについて考えてみたいと思います。

「投資」に近い「博打」はあまり思いつかない

「投資」に近い「博打」というのはよくよく考えるとあまり思いつきません。投資と博打の大きな違いは、その行為そのものの娯楽性ですが、博打が娯楽性を排して確実なリターンを得るための行動に変わると、それは「投資」というよりむしろ「職業」「労働」に近くなるからかな、と思います。例えばパチンコの開店プロ。もはや娯楽というよりは、まめに新装開店店舗情報を仕入れて朝早くから並び稼ぐ。これは投資というより労働に近い博打でしょう。

博打に近い投資【値動きリスクの側面】

「博打」に近い「投資」はいくらでも思いつくわけですが、大きくは2つの側面があります。ひとつはリスクが大きいという側面です。

私もビットコイン他の暗号通貨を購入したことがありますが、その値動きの大きさに驚きました。確か1BTC20万円くらいの時に買ったのですが、それがあれよあれよと今現在は約500万円です(0.025BTCくらいしか持ってないんですが笑)。これはもうあれこれ理屈や考察抜きにして博打です。その他にも株は企業が破綻すれば紙切れですし、バブル崩壊を経験した日本人としては、不動産も投資としてはちょっと怖い。

どんな投資でもリスクはありますが、やはり値動きが大きく、ド素人からすれば怖い投資はたくさんあると思います。

ただ、投資商品に値動きのリスクがあるというのは割とよく知られた話で、逆にリスクがちゃんと説明されない高金利商品は確実にサギ、という啓蒙も浸透してきました。つまり「値動きのリスク」の側面で発生する「投資」と「博打」のグレーゾーンは比較的皆さんわかりやすいと思います。

博打に近い投資【丁半博打、勝者と敗者の側面】

もう一つは「勝者」と「敗者」の側面です。博打は、敗者の賭け金を勝者が奪うという決定的な特性があります。投資にもこれに似た特性のものがあります。

  • 例えばAさんがX社の株を1000円で1株買おうと思いました。
  • Bさんは手持ちのX社の株を、1000円なら1株売ってもいいと思いました。

この売り買いの要望が株式市場でマッチングされて売買成立です。ここでポイントは、AさんはX社の株が「そのうち1200円くらいに上がるだろう」と思って買おうとしています。それに対してBさんは「そのうち900円くらいに下がるかもな」と思って売ろうとしているわけです。つまり、AさんとBさんの思惑が正反対になった時に株の売買は成立するわけで、X社の株が多少値動きすれば、どちらかが勝ち、どちらかが負けます。

つまり株に勝つ人がいれば、その裏側には必ず負ける人がいる。これは博打の特性に近いものがあります。

ですがその一方で株には博打とは決定的に違う特性があります。株は値上がりすれば、持っている人は全員ハッピーになります。値下がりすれば全員が落胆します。株を持つということはそもそもが「その企業の経営に参加する」ということです。ですからその企業を応援する、頑張ってもらう。そうすればみんなハッピーになる。

博打にはみんながハッピーになる、というシナリオは存在しえません。絶対に全員がハッピーにならないものが、博打です。

その一方で、身近な金融商品でももっと博打に近い金融商品はあります。「勝者と敗者」の丁半博打の金融商品です。

私がすぐに思いつくものは「外貨預金(FXや暗号通貨も)」と「健康祝金付きの生命保険、医療保険」です。これはちょっと長くなるので、次回に送りましょう。

なんだか、「博打は悪」が前提のような書き方になってきましたが、そんなことはないですよね。私自身学生時代はパチンコパチスロはサルのようにやりましたし、麻雀は歳をとっても楽しめる知的ゲームですし、競馬だって世界中から愛される娯楽ですし文化だと思います。

私が許せないのは、博打の特性を隠して美辞麗句の宣伝文句を並べている金融商品です。値動きリスクの有無は説明されますが、むしろ博打の本質は「勝者と敗者」です。これをよく見極めて「ほぼ丁半博打の金融商品」を見極めていきましょう

2.「消費」と「投資」と「博打」

投資はちょっと怖いよね、という人もいると思います。それは言い換えれば投資はギャンブルみたいなものだから、ということではないでしょうか。さらにお金を使う行為として単なる消費、という行為もあるわけです。それらの違いを知ることで投資の意味を考えたいと思います。

「投資」と「消費」と「博打」

というわけで、投資について具体的に紹介していく前に、対価を支払って何かを得る行動として「投資」「消費」それと「博打(バクチ)」の違いを考えたいと思います。それほど難しい話ではない、一般論の世界ですが、この3つにはグレーゾーンがあり、特に「投資」と「博打」の間のグレーゾーンは「あまり手を出さない方がよい投資」ということになります。ここは本質的に重要なことだと思っているので、読み進めて頂ければありがたいです。

「消費」 必要な商品・サービスの購入

まず「消費」から考えましょう。これは「必要に応じて、必要な商品・サービスを購入すること」という感じでしょうか。期待するものは購入する商品・サービスそのものです。難しいのは「必要に応じて」という部分で、例えば必要の無いものを購入することも「消費」と言いますね。これは「浪費」ともいうので、大きく消費という概念の中に浪費もあると考えればよいと思います。

消費の大きな特徴は、必要な商品・サービスを手にした時点で基本的には完結するものだ、ということです。もちろん体に良いものを買って食べれば健康を保てる、ディズニーランドに行けば良い思い出になる、素敵な家具を大切に長く使う、など得るものはあるわけですが、客観的な価値があるリターン、狭義では金銭的な価値があるリターンを得ることはできるとは言えないもの、これが消費です。

「投資」 リターンを目的とした商品・サービスの購入

続いて「投資」です。これは「先々何等かのリターンを得ることを目的として、商品・サービスを購入すること」とでも言えるでしょう。例えば株。株自体に意味があるわけではなく、株を購入することで、値上がり益や配当金、株主優待、あるいは経営の権利などを期待するわけです。あと典型的なのは不動産。自分が住むための土地を購入してそこに家を建てるのは、「消費」に近いと思います。その中でも土地は価値が変わりにくいので、自用にしていても「投資」の側面はありますが、「建物」などは長く住んでいるとよほど特殊な文化財的な価値がある建造物でなければ価値は下がる一方なので、ほぼ「消費」だと思っています。

例えば「勉強する」ことは「投資」だと思います。勉強するためにコストが必要ですが、自分が得た知識を利用して新たな収入を得る期待ができますので。

・・・と子供に話してもさっぱり勉強してくれないのですが。。。

「博打」 不確実なリターンのための支払い行動

さて最後は「博打」です。「ギャンブル」も同義ですが、せっかくですので漢字熟語で統一してみました。これは難しいですが「極端に不確実なリターンを得るための商品・サービスで、必ず勝者と敗者が存在するもの」とでも言えるでしょうか。

ポイントは、リターンが不確実であることです。というか、統計的には極端にリターン率が悪い。宝くじで億単位が当たるより、今日外に出て交通事故を死ぬ確率の方が高い。また必ず勝者と敗者がいることも重要です。宝くじに当たるというのは「他の負け購入者から賭け金を奪う」とも言えますよね。あと、博打の特徴として「それ自身が楽しい」というのはあります。お馬さんが走っているのは見ていて楽しいですし、海物語のリーチアクションもわくわくする。麻雀も知的心理的ゲームの側面は強いです。

消費~投資~博打のグレーゾーンに、良い投資のヒントがある

このあたりで長くなってきたので、次の回に譲ります。

ポイントは「グレーゾーン」です。最後に記載した「博打」ですが、書いていることは「投資」と何が違うのでしょうか。株だってリターンは極端に不確実です。しかも前回書いた通り、投資自体楽しいもので値動きで脳汁が出るわけです。

つまり「消費」「投資」「博打」にはグレーゾーンがあります。そしてこのグレーゾーンに「安全な投資」のヒントがあると思っています。

「消費要素が少ない投資」「博打要素が少ない投資」

これが、本当の意味での「投資」であり、本来の投資から外れた行動にはまらないように、我々投資庶民がまず心がける投資だと思ってください。

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さて次回はまず「博打と投資のグレーゾーン」を具体的に見ていきたいと思います。

1.「投資」は避けて通れない時代

投資について書こうと思います。

私は某IT企業の社員で金融関係はド素人ですが、株・投信への投資は25年ほど続けてきました。ド素人の視点にはなりますが、金融機関への忖度もなく「投資ってなんだ」「こんなものには投資するな」「これは買っとけ」という意見を共有していきたいと思います。具体的な商品知識には限界がありますので、一般論や考え方として書きたいと思います。また具体的な商品や金融機関の社名を挙げる時は、ユーザとしての印象という位置づけで、自分が購入、利用しているものに極力限定して書くようにします。

 

投資なんて考えなくてもよかった時代

私はバブル入社の世代です。
しかもIT企業に就職、今でこそ人気業種ですが当時は「IT土方」という言葉があったほど、なかば肉体労働に近い過酷な仕事、投資などと言うものに頭を回す余裕は全くありませんでした。
また社会自体が右肩上がり、金融的には高金利の時代でした。銀行定期でも確か4,5%の利子、また当時の郵便貯金の定額貯金などは長期預入すれば10%程度などと言う、今では信じられないような利率の時代でした。つまり投資など意識しなくても堅実にしていれば、お金が増える時代でした。(物価も上がっていましたが)
そもそも、まだ終身雇用の慣習が残る時代で、普通に働いていれば給料はそれなりに増える時代でもありました。

投資は避けて通れない時代

そして現在、そのような時代は見事なまでに終わりました。

銀行にお金を預けても増えることはありません。会社は成果主義で給料が順調に上がるかどうかも自分次第、さらに社会の状況次第です。

また公的年金国民年金、厚生年金)にしても、65歳から支給されるわけですが、額は潤沢ではありません。私は一応一流といわれる企業で30年勤め上げ、最終的には税引き前の年収で最高時で1400万円ほどありました。これで年金はいくらぐらいだと思いますか?。月額20万円を切るくらいです。私としては「こんなに少ないのか」と感じました。現役時代の最高時手取りの1/3以下です。

ということはやはり何等か、自分で「これは老後のお金」とためておく必要はあることを、自分の問題として感じました。そして投資というのは考えられる手段としては当然だと思います。

他には、例えば会社で「確定拠出年金」が導入されているところも多いのではないでしょうか。確定拠出年金は要するに「もう年金掛け金の運用先は自己責任で自分で考えてくれ!その結果、年金額がいくらになっても、投資先を決めたあなたの責任だ」という超割り切った制度ですから、投資知識は本来必要です。

また日本政府としては、とにかく株価を維持したい、そのためには個人にもガンガン株を買ってもらいたい、というモチベーションですから、我々が否が応でも投資に触れる機会が多くなりますし、税制面でも貯蓄より投資の方が優遇されることが今後も増えると思います。

つまり、金融情勢としても、労働・雇用環境としても、日本の税制としてもあらゆる面で「銀行預金で放置プレイ」は不利な状況であり、投資は避けて通れない時代になった、ということだと思います。

投資は楽しもう(必ずしも目標を持って投資しなくてもよい)

投資を始めなければ、投資ってどうすればよいのか、そう思ったら、少しこちらのブログをのぞいてみてください。

もしあなたが、年金定期便とかをまじめに見だして、「月額××万円くらいまでは資産を確保したい」と目標感があるなら、それに向けて始めましょう。ただし、投資を始めれば急に老後資産が増えるというわけではありません。投資を始めることで、自分の資産の全体像を把握する良い機会になる、守るべきお金と攻めるべきお金、あと楽しむべきお金の分けがはっきり見えてくる、ということだと思います。

でも、私で言えば40代前半くらいまで、そのくらいまでは老後のことなどあまり考えていませんでした。でも投資は面白そうだから、手元の余裕資金でやってみたい。そのくらいの動機で、30歳ころに始めました。

まだ老後を考えるような歳ではないということであれば、それでよいと思います。無理に人生の目標だライフプランだと考えていては、投資する前に確実に飽きます。

まずは投資を体験してみましょう。

なぜ投資をする人が多いのかというと、投資は楽しいからです。投資した商品(株とか)の価格が上がったり下がったり、正直脳汁が出ます。皆さんも、気軽に脳汁出してみませんか。当然安全に、大怪我しない範囲で。

私は楽しく安全に投資すること、避けた方がよい素人には危険な投資商品種類について紹介していきたいと思います。皆さんがどのような投資商品を選ぶかは自由ですし、個々人に合うもの合わないもの、はありますが、「多くの人が安全に殖やせた商品種類」や「本質的に手を出すのは危険な商品種類」は確実にあります。これを理解していれば、大怪我はないと思います。

私は、投資歴25年程度で投資額から20%程度目減りした怪我は3商品ほどあります。それぞれ50万投資したものが35~40万になった、くらいのものですので「大怪我」ではないと思いますが、このような実例も含め、どうすると怪我しやすいか、は共有していきたいと思います。

では、まず最初に。

毎月3千円くらいの投資資金は捻出できますか?。できそうであれば、はじめてみましょう!

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次回はまず「投資」とは何なのか、どう言うものをさすのか、いわゆるギャンブルや、単なる消費とは何が違うのかということから考えていきたいと思います。