投資を始めようという人へ

ド素人の視点からの投資やお金にまつわる考え方

コラム1 株で優待?

個別株式購入の魅力の一つとして、「株主優待」がありますよね。

企業によっては、株式を購入するだけで自分が必要なもの欲しかったものを、当然のごとく送料無料で自宅にご丁寧に配送してくれるわけで、しかも株式としての資産価値・値上がり益も期待できて、ということでなかなか魅力的です。

まあそういう即物的な欲求の側面もありますが、株式というものがそもそもその企業に出資するという行為であるからには、出資者(その株を購入する人)は、その会社のファンでなければならない、と思っています。ですから、その会社の自慢の商品をもらって、ますますファンになる、という意味でも、株主優待は意味があると思います。

ですが、私はド素人の投資として株主優待目的で個別株を購入することは、自分の経験としてお勧めしません

まず私が株主優待目的で購入した個別株は以下のようなものがあります。

 ① 某ファミリーレストランチェーン [お食事券]

 ② 某バス会社 [路線バス回数券]

 ③ 某食料品会社 [食料品詰め合わせ]

 ④ 某通販会社 [通販購入用の金券]

1.自分のライフスタイルの変化

まず、企業の経営と自分のライフスタイルは同期しない、ということがあります。例えば、私はバス会社の株を購入後しばらくして、戸建てを購入して引っ越したのですが、そこはそのバス会社のバスを使うには不便な場所でした。それ以来、そのバス回数券はほぼ使うことなく金券ショップに売りに行くことになりました。

また某ファミレスチェーンは、価格設定が低い店も多く、小さい子供を連れて安心して連れていけるところで重宝していましたが、子供が高校生になってみるとあまり頻繁に行くこともなくなりました。毎回同じような店に行くと家族もさすがに飽きてきます。

優待目的で買ったのですから、優待が必要なくなったらその株を売却しても良いのですが、コロナで株価はダダ下がり、コロナが収束して株価が持ち直すのを待つか、、、と塩漬け状態です。

つまり、優待品は自分の状況の変化により、あまり価値のない付加価値になる可能性がある、またその自分の状況の変化と、会社の業績の変化もまた全く同期するはずがない、という意味で、優待品と投資とを結びつけるのはそもそも無理があると思います。

なお、一部優待品には、優待品としてのプレミアムがあり転売による儲けなどを期待できるものもありますが、それは例外的なケースでしょう。

2.企業業績との連動

そもそも優待品は、企業業績と連動するものだと思います。企業の1年の営業活動の結果、利益が出ることが見込まれたら、それを配当金や株主優待という形で株主に還元するのですから、利益が出ないのであれば株主優待は出ないですし、逆に利益が出ないのに株主優待を気前よく出す、という会社は本当に経営大丈夫?!と心配になります。

実際に、某ファミレスチェーンはコロナ禍で優待金券がほぼ半額になりました。そして株価もダダ下がりです。私は個人的には「その会社に出資したんだ」という男気でその株は持ち続けていますが(いわゆる塩漬けですな)、、、

少なくとも「株を買うという『代金』を払って、優待品を『購入』している」という感覚は間違っているあくまで投資であり消費行動ではない、優待品は保証されていない、という意識は必要だと思います。

3.単位株の壁

株主優待を得るためには、最低限単位株(通常100株)での購入が必要です。またある程度魅力的な優待品の量は、さらに多くを購入する必要があります。例えば某ファミレスの現在の優待金券は:

 100~299株 4000円分

 300~499株 10000円分

 500~999株 16000円分

私は、はい。500株買いました。。。その時点で私のポートフォリオは極端にそのファミレスに寄ったものとなりました。その資金をあの時に全世界株式ファンドやS&Pのインデックスファンドに投資していたら今頃は・・・

投資する上でとても重要なことは「あくまで自分の資産状況や年齢、家族の状況に応じて必要・十分な額を投資する」ことです。

これに対して、優待目的の株購入は、一般個人からすると優待品を得るがために不相応に大きな額を拠出する必要があるケースが多いです。

まとめ

株主優待目的の投資は、本来「出資」「投資」であるはずの個別株購入に「優待品をもらう」という「消費」の概念を持ち込むがために、本来の投資としての判断が損なわれると思っています。

あくまで優待品はおまけという意識で判断していかないと、本末転倒な投資で失敗することになると思います。気を付けましょう。